解決事例
4. 退職強要
退職強要
- Gさんは、正社員として入社した会社で2年間勤務したところ、会社のパソコンの私的利用及び数回の遅刻を理由に、懲戒解雇されたくなければ自主退職せよと迫られ、会社側の退職強要に屈し、自己都合退職することに合意しました。
会社側との何度もの交渉を経て、退職強要は無効であることを認めさせたうえ、合意退職すること、退職勧奨を理由とする会社都合退職とすること、及び解決金として約5か月分を支払うことを内容とする和解が成立しました。
Gさんは、現在、別の会社で大活躍されています。 - 説明
- 退職強要は、使用者側が強迫や虚偽の告知を用いて従業員に退職の意思表示をさせることです。例えば、使用者が、従業員のさまつなミスを取り上げ、自主退職しないと懲戒解雇となると言い向け、従業員に意に反する退職の意思表示をさせるケースです。
従業員側の退職の意思表示が任意かつ真摯な意思に基づかない場合(強迫や錯誤がある場合)、退職の意思表示は無効または取り消される可能性があり、会社への復職や会社に対する損害賠償請求が認められる可能性があります。
会社側としては、解雇にするほどの事由がないであるとか、解雇とはせずに自主退職させたほうが波風が立たないといったことなどから、解雇ではなく、退職勧奨という方法をとることがありますが、その退職勧奨の際に、手段が行き過ぎてしまうと退職強要となってしまいます。
退職勧奨があった際に従業員側に意に反するような退職の意思表示をさせたかが主要な争点となります。退職勧奨は、会社の会議室などの密室で行われることが通常ですので、どういった方法で、会社側の退職勧奨が行き過ぎていたかを立証していくかが一つのハードルとなります。録音がない場合であっても、退職勧奨の前後のさまざまな事情から、退職勧奨が強要にわたり、従業員の意に反する退職の意思表示がなされたかを緻密に主張立証していくこととなります。
事案では、録音がない事案でしたが、従業員側からの不自然な退職の意思表示がされた経緯や、平素からの会社側から従業員への姿勢なども勘案し、退職の意思表示が無効であることを会社側に認めさせました。