解決事例
5. 雇止め
雇止め
- Hさんは、1年間の有期契約社員として会社に雇用され、1年ごとの有期労働契約を3回更新されましたが、4回目の更新を前に、協調性の欠如や上司への命令違反を理由に、契約更新をしない通知を受け、雇止めを受けました。
Hさんは、会社から言われた理由が全く見当のつかない内容であったため、労働審判を申立てました。
労働審判では、無期労働契約と同視できる場合(労働契約法第19条第1号)であるとの認定がされたうえ、会社が更新拒絶をすることが客観的合理性及び社会的相当性に欠けるとされ、雇止めは無効であると判断され、解決金として、当初の希望額を上回る内容で和解することができました。
雇止めのケースでは、まず労働契約法第19条各号に関する緻密な主張立証が必要です。そのうえで、会社が雇止めの理由としている事由が認められないことを丹念に主張立証する必要があります。 - 説明
- 雇止めとは、有期労働契約の期間満了時に契約更新せずに労働契約を終了させることをいいます。例えば、1年ごとの有期労働契約を3回更新した労働者が、会社から次の契約更新をしないとされた場合です。
無期労働契約と同視できる場合(労働契約法第19条第1号)や契約更新への期待が保護されるべき合理的理由がある場合(労働契約法第19条第2号)には、「契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。」とされております(労働契約法第19条)。
したがって、労働者側としては、まず、有期労働契約が労働契約法第19条の第1号または第2号に該当することを主張立証する必要がございます。
そのうえで、使用者側が雇止めをした理由について、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないことをていねいに主張立証していく必要がございます。
雇止めの場合、無期労働者(正社員)の解雇事案と比べて、労働者側の主張立証のハードルが高まる傾向が強いので、解雇案件以上に緻密な主張立証を尽くすことが重要となります。